
9月17日、ペンタゴンで記者の質問に答えるゲーツ国防長官(L)とカートライト統合参謀本部副議長 (R)
東欧に配置予定だったMDに関して、アメリカが見直すというニュース…。オバマが行き詰ってブッシュが残したもう一枚のゴミカードを切ってきたのかと(まぁ見方によればそうかも知れませんが)思いましたが、どうやらそうではなさそうです。ある意味オバマ流の現実路線と言えるかもしれません。
一方のロシアも、ゴミにはゴミとカリーニングラードのイスカンダル配備をわざわざ「見返り」として中止すると発表しまた。これで公式に、この件で他の譲歩はしないと釘をさしたわけですね。
◆MD対抗ミサイル、配備計画見直し 米対応に「見返り」(毎日)
今回の見直しの内容ですが、東欧に関して言えば、MDを地上から海上へ置換えたという事です。つまりレーダー施設やミサイルを地上に配備するにではなく、SM-3を搭載したイージス艦を地中海や北海に配置するようです。
ロ、新MD計画を警戒 海上配備『歓迎できぬ』(東京新聞)
2009年9月19日 朝刊
【モスクワ=中島健二】ロシア政府は、米国が東欧でのミサイル防衛(MD)計画を撤回したことを歓迎する一方、米国がその代わりとして、海上配備型迎撃ミサイルSM3を軸とした新たなMD計画を打ち出したことに警戒を強めている。
ロシアのロゴジン駐北大西洋条約機構(NATO)大使は十七日、「米は(東欧配備より)さらに機動的なMDシステムを選択しただけ」との見方を示し、「米が譲歩したわけではなく、ロシアは過度に歓迎すべきではない」と警告した。
ゲーツ米国防長官は同日の会見で、イランの短・中距離弾道ミサイルに対処するため、SM3を搭載したイージス艦を欧州に重点配備し、二〇一五年以降に地上配備型のMDを展開すると発表。ロゴジン大使は、イージス艦の配備が「ロシアの沿岸に緊張をもたらす可能性がある」と指摘し、「専門家による研究が必要」と述べた。
米国の東欧MD計画撤回を受けて、地元メディアはロシアがイラン制裁に同意する可能性を報じたり、米国との新たな核軍縮交渉で大幅譲歩するとの観測も伝えているが、ロシアは引き続き米国の新MD計画を、対米交渉のカードとして保持するとみられる。
まぁイージス艦に関してはもう随分前からACWでジェフリーが言ってました。ロシアにすれば自由に動ける船のほうが始末に悪い(笑)。と同時にアメリカはトルコにミサイルを売っています。
◆トルコ、長距離ミサイル防衛システムを導入(CNN)
今回のMD見直しは4つの段階で整備を進めるそうです。
◆2020年めどに段階的に迎撃態勢を整備(産経)
◆東欧MD見直し(毎日)
第1段階(2011年)
SM-3 (Block IA)のイージス艦への配備(既に地中海に配備を初めている)
第2段階(2015年)
SM-3(Block IB)Block IAの改良型。地上と海上の両方への配置
第3段階(2018年)
SM-3(Block IIA)中・短距離弾道ミサイルを迎撃する。これはヨーロッパの大半をカバーする。地上と海上の両方への配置。
第4段階(2020年)
SM-3(Block IIB)イランからの大陸間弾道弾クラスを捕える相当に大きなミサイル。(地上配置型)
今回の見直しの要因としてゲーツ長官は、イランがシャハブ-3 のような短・中距離の弾道ミサイルの開発のスピードをあげてきた一方で、アメリカに届くような大陸間弾道弾の開発が遅れている事ともう一つ。ミサイル開発による技術的な進歩の結果、弾道ミサイルを捕える事に成功し大きな自信となった事をあげています。(ということはイランが大陸間弾道弾を完成させるまであと10年ほどかかるという事でしょうか)
また、第2段階でのSM-3(Block IB)の地上配備について、チェコ、ポーランドと協議が始っているようです。ただ現段階ではあくまでも候補の一つという位置づけのようですが。

ワシントン、9月18日。ゲーツ長官はチェコのバルターク国防相と会談
アメリカ海軍は現在、3隻の巡洋艦と15隻の駆逐艦の計18隻のイージスBMDを持っています。このうち16隻が太平洋艦隊に所属しています。海軍は新たに3隻(1隻の巡洋艦と2隻の駆逐艦)の改修を始めており、さらに追加で6隻(2隻の巡洋艦、4隻の駆逐艦)をイージスBMDに改良する予定です。最終的には27隻のイージスBMDを保有することになるでしょう。
日本は、Block IIAをアメリカと共同開発していて研究開発費(21億ドル)の半額を出資しています。Block IIBも共同開発してるようですが、オバマにより開発が止っていたのですが、今回の内容を見る限りオバマは、開発を再開させるようです。
日本の6隻あるイージス艦のうち、こんごう型護衛艦4隻はBMDで運用するために改修が決定していて既に2隻が改修を済ませています。
◆米露がイランへの追加制裁で足並みそろえる(産経)
まぁアメリカが妥協したからロシアが協力したと言いたいのはわかります。でも基本的にイランに関しては米ロが協力関係にある事は以前から言ってるとおりです。ロシアは「協力的」だという態度を見せたいんですよね……誰にかって? そりゃアメリカ国民にでしょう(笑)。
◆NATO :「MDシステム連結も」ロシアに協力強化促す(毎日)
ロシアをMDに引入れるための強力なエサとして、ゲーツ長官がブッシュに推薦した東欧のMD。それが流れた途端に今度はNATOがロシアをMDに誘うなんて………。
参考
A Sensible Missile Defense for NATO(Arms control wonk)
Briefing with Secretary Gates and Gen. Cartwright from the Pentagon(DoD)
A Better Missile Defense for a Safer Europe By ROBERT M. GATES(NYT)
Fact Check - Technicals of AEGIS BMD(Information Dissemination)
RIM-161 SM-3 Upgrades(GlobalSecurity.org)
スタンダードミサイル(Wikipedia)
イージスBMD(Wikipedia)




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